2017年流行語大賞を総括!「忖度」「インスタ映え」W大賞の真実
スマートフォンとSNSが日常の風景を塗り替える一方で、政治の暗部や忖度構造への追及が日本中を揺るがした2017年。世相を象徴する言葉を選出する「ユーキャン新語・流行語大賞」では、表裏一体の日本社会を映し出すかのように、異例のダブル年間大賞が誕生しました。
ビジュアル重視の消費行動を爆発的に広げた「インスタ映え」と、政治・官僚組織の力学を可視化した「忖度」。本稿では、激動の2017年流行語大賞における選考の真相やトップテンの顔ぶれ、さらにはノミネート全30語の背景と現在に至る影響まで、当時の記録と独自の視点を交えて詳しく検証します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2017年の年間大賞は「インスタ映え」と「忖度」の2語が選出され、デジタル文化の急成長と政治スキャンダルという時代の二面性を象徴した。
- 要点2:「35億」「ひふみん」といった大衆的人気ワードに加え、「睡眠負債」「プレミアムフライデー」など働き方改革の過渡期を示す言葉がトップテン入りを果たした。
- 要点3:豊田真由子元議員の暴言や「魔の2回生」問題など、政治不信がネットミームとして拡散される構造が決定づけられた転換期の年となった。
【年間大賞の舞台裏】「インスタ映え」と「忖度」がダブル受賞した決定理由

2017年の「ユーキャン新語・流行語大賞」において最大のトピックとなったのは、「インスタ映え」と「忖度(そんたく)」の2語が年間大賞を同時受賞した点です。審査委員会がこの2語を選んだ背景には、SNSを中心とした若者・消費文化の台頭と、国家中枢を巡る政治倫理問題という、当時の日本社会を分断する2大潮流が存在していました。
まず「インスタ映え」の由来は、写真共有アプリ「Instagram」の国内アクティブユーザー数が急伸したことにあります。単に風景や食事を記録するだけでなく、「写真を通してどう自己表現するか」「タイムラインでどれだけ目立つか」が若年層や飲食・観光業界の最重要指標へと変化しました。女性ファッション誌『CanCam』が火付け役となり、カラフルなスイーツやフォトスポット巡りが一大ムーブメントを形成。消費行動の起点そのものが「映えるかどうか」へとシフトした実態が評価されました。
対照的に、ニュース報道を連日ジャックしたのが「忖度」という流行語の意味です。本来は古代中国の『詩経』に由来し「他人の心中をおしはかる」という奥ゆかしい言葉でしたが、森友・加計学園問題を契機にニュアンスが一変。「権力者の意向を先回りして推測し、不正や便宜を図る」というネガティブな文脈で広く使われるようになりました。籠池泰典氏の会見での発言を通訳者が「read between the lines(空気を読む)」と苦心して訳したエピソードも、国際的な関心を呼びました。
明るい消費トレンドの極致である「インスタ映え」と、権力の陰湿な力学を露呈させた「忖度」。審査委員会は、この極端な光と影の両方を記録することこそが同年の世相を正確に総括する手段であると判断し、異例のダブル大賞授与に踏み切りました。
【2017年流行語大賞 トップテン一覧】時代を映した名フレーズと選考背景

2017年のトップテンは、エンタメ界の超新星から社会問題、労働環境の変化を映し出す言葉まで、非常にバラエティに富んだラインナップとなりました。当時の世相を振り返る上で欠かせない10語の一覧と選考理由は以下の通りです。
| 受賞語 | 受賞者・発信元 | 選考背景と当時の社会的インパクト |
|---|---|---|
| インスタ映え (年間大賞) | Cancam it girl(CanCam読者モデル) | SNSでの見栄えを意識した消費行動が社会現象化。外食や旅行の動機を根底から変えた。 |
| 忖度 (年間大賞) | 株式会社ヘソプロダクション(忖度まんじゅう発売元) | 学校法人への国有地払い下げ問題などで頻出し、組織論や政治倫理を問うキーワードとなった。 |
| 35億 | ブルゾンちえみ | キャリアウーマンネタで大ブレイク。オースティン・マホーンの楽曲に乗せた痛快な決め台詞。 |
| ひふみん | 加藤一二三(将棋棋士・九段) | 現役引退後にバラエティ番組で大人気に。愛嬌あるキャラクターと偉大な棋歴のギャップが魅力。 |
| 睡眠負債 | 枝川義邦(早稲田大学教授) | 日々の睡眠不足が借金のように蓄積し健康を害するメカニズム。NHK特番などで危機意識が向上。 |
| プレミアムフライデー | プレミアムフライデー推進協議会 | 月末金曜日の早期退社と消費喚起を目指した官民連携プロジェクト。普及に向け議論を呼んだ。 |
| 魔の2回生 | 該当者なし(週刊誌報道発信) | 2012年初当選の自民党衆議院議員による不祥事や失言が相次ぎ、当選同期の緩みが批判された。 |
| Jアラート | 該当者なし | 北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、全国瞬時警報システムが実際に作動し緊張が走った。 |
| フェイクニュース | 該当者なし | ネット上の虚偽情報や政治宣伝が問題視され、情報リテラシーの重要性が叫ばれた。 |
| 空前絶後の | サンシャイン池崎 | ハイテンションな自己紹介ネタで子どもから大人まで席巻。年末のバラエティでも大活躍した。 |
特筆すべきは、「睡眠負債」という概念の浸透です。単なる「寝不足」を個人の自己責任とせず、慢性的な蓄積が脳機能や寿命に悪影響を及ぼす医学的リスクとして捉え直したことで、ビジネスパーソンのライフスタイル見直しを促しました。
また、「プレミアムフライデー」の導入経緯には、当時の安倍政権が掲げた「働き方改革」と「個人消費の喚起」を同時に達成する狙いがありました。毎月末の金曜日は15時退社を推奨するという斬新な試みでしたが、実務現場での導入難易度や業種間格差が浮き彫りとなり、制度の形骸化をめぐる議論が巻き起こったのもこの時期の特徴です。
【政界・芸能スキャンダル】豊田真由子氏「ちーがーうーだーろー」と「魔の2回生」の波紋

2017年の流行語を語る上で避けて通れないのが、相次ぐ政界の失言・スキャンダルが生み出した強烈なフレーズ群です。その筆頭が、週刊新潮のスクープによって明るみに出た豊田真由子元衆議院議員の暴言音声でした。
秘書に対する凄まじい罵声「このハゲーーっ!」「ちーがーうーだーろー!」は、ワイドショーやネット上で無数にリピート再生され、日本中に衝撃を与えました。流行語大賞のノミネート選考においては、容姿差別への配慮から「このハゲーーっ!」の収録が見送られ、結果として「ちーがーうーだーろー」がノミネート30語に選出されるという選考委員会の判断も大きな注目を集めました。
こうした不祥事が多発した構造的背景を言い表したのが「魔の2回生」という言葉です。2012年の自民党大勝(政権奪還選挙)で初当選した議員たちが、2期目を迎えた2017年頃に不倫、暴言、金銭スキャンダルを続発させたことに由来します。厳しい野党時代や激しい選挙戦を経験せずに当選したため、議員としての自覚や倫理観が欠如していたのではないかという分析がなされ、永田町の構造的な脆弱性を浮き彫りにしました。
【全30語を網羅】2017年流行語大賞ノミネート一覧と当時のネットの反応
トップテンには届かなかったものの、ノミネートされた全30語には当時のカルチャーを彩った懐かしいキーワードがずらりと並んでいます。ネットカルチャー、エンタメ、時事の各分野で話題をさらった代表的な語句を整理します。
- カルチャー・ホビー:『うんこ漢字ドリル』『ハンドスピナー』『刀剣乱舞』『けものフレンズ』
- デジタル・テクノロジー:『AIスピーカー』『ユーチューバー』
- エンタメ・スポーツ:『藤井フィーバー』『29連勝』『陸王』
- 社会・ライフスタイル:『ワンオペ育児』『炎上〇〇』『ポスト真実』『共謀罪』
当時、2017年流行語大賞のノミネートに対するネットの反応は賛否両論が渦巻きました。SNS上では「藤井聡太四段(当時)の29連勝や『ひふみん』など将棋界の話題が明るいニュースで救われた」と歓迎する声が上がった一方、「政治批判的なワードが多すぎるのではないか」「ネットミームとして定着したアニメ『けものフレンズ』のセリフ(わーい!たーのしー!)が大賞候補に食い込まなかったのは残念」といった率直な意見も噴出しました。
特にTwitter(現X)をはじめとするネットコミュニティでは、ノミネート発表直後から独自のパロディ画像や大喜利ポストが大量に生成され、流行語の発表自体が一大エンタメイベントとして消費される文化が完全に確立されました。
【新語流行語大賞 歴代まとめ】2017年は日本社会の転換点だったのか?
新語・流行語大賞の歴代受賞作を俯瞰すると、2017年は「昭和・平成的な組織文化」と「令和へと続くデジタル個人主義」の境界線となった年であることがよく分かります。
2010年代半ばまでは「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」(2013年)のように、テレビ発の共通言語が圧倒的なシェアを占めていました。しかし2017年を境に、「インスタ映え」に代表されるSNS発のライフスタイル用語や、YouTube・サブスクリプションを通じた個人の趣味嗜好の細分化が一気に加速しました。
また、「忖度」や「睡眠負債」という言葉の定着は、日本企業や官僚機構に根付いていた「不透明な同調圧力」や「長時間労働を美徳とする根性論」に対する厳しい見直しの契機となりました。単なる一過性の流行にとどまらず、現在も「映え」という短縮語が日常会話に溶け込み、健康経営やコンプライアンス遵守が企業の必須命題となっている事実こそが、2017年の流行語が残した最大の遺産です。
【2017 流行 語 大賞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2017年の年間大賞が「忖度」と「インスタ映え」の2作になった決定打は何ですか?
A1:選考委員会において、SNSを中心とする個人の情報発信文化(インスタ映え)と、森友・加計問題をはじめとする国家権力や組織の不透明な力学(忖度)という、2017年当時の日本社会が抱えていた「明と暗」の世相をどちらか一方だけで表すのは不可能であると判断されたためです。
Q2:「35億」で一世を風靡したブルゾンちえみさんは現在どうされていますか?
A2:ブルゾンちえみさんは2020年に所属事務所を円満退所し、本名の「藤原しおり」名義に改名されました。その後はタレント活動の枠を超え、文筆家、ラジオパーソナリティ、環境保護や社会貢献活動など、多岐にわたるフィールドで独自の表現活動を続けています。
Q3:「プレミアムフライデー」や「睡眠負債」はその後どうなりましたか?
A3:「プレミアムフライデー」は早期退社を実施できる企業が限定的だったため徐々にイベントとしての熱気は落ち着きましたが、後の「柔軟な働き方」や「ワーケーション」の先駆けとなりました。一方の「睡眠負債」は医学・ビジネス用語として完全に定着し、スリープテック産業の急成長や健康経営の指標として広く活用されています。
まとめ:言葉から読み解く時代のうねりと現在への教訓
2017年流行語大賞を振り返ると、そこには現在のスマート社会やワークライフバランスの原点が色濃く刻まれています。スマートフォン越しに自己表現を追求し始めた「インスタ映え」の熱狂と、組織の不条理を浮き彫りにした「忖度」の衝撃は、私たちがどのような社会を目指すべきかを問いかける強力なシグナルでした。
時代とともに言葉の使われ方は移り変わりますが、当時の流行語が投げかけた「情報の透明性」や「自己の健康管理」、そして「個性の発露」というテーマは、今を生きる私たちにとっても色褪せない重要な指針となっています。 (出典: 2017 流行 語 大賞(Yahoo!ニュース))