ワクワクさんとゴロリの絆!「つくってあそぼ」終了の裏側と現在
わくわく さん つくっ て あそぼは、日本の教育テレビの歴史において、何世代もの子どもたちの創造力を刺激し続けた金字塔的な存在だ。身の回りにある牛乳パックや紙コップ、セロハンテープといった素朴な材料から、驚くほど楽しいおもちゃを生み出す魔法のような時間は、多くの視聴者の記憶に深く刻まれている。放送開始から30年以上が経過し、デジタルテクノロジーが子育ての現場を席巻する今、あの温もりあふれる工作体験の価値が改めて見直されている。
スマートフォンやタブレット端末が幼少期の娯楽の中心となった2026年の現在だからこそ、かつてわくわく さん つくっ て あそぼが提示した「自分の手でモノを作り出す面白さ」に再びスポットが当たっているのだ。かつて番組に夢中になった世代が親となり、自分の子どもたちへ手作りの楽しさを伝える輪が広がるとともに、番組の軌跡や制作背景に対する関心も高まりを見せている。
20年続いた伝説の工作番組「つくってあそぼ」が遺した文化的足跡

1990年から2013年までNHK Eテレ(旧NHK教育テレビ)で放送された「つくってあそぼ」は、NHK(日本放送協会)が手がけた幼児向け教育番組の中でも、異例の長寿と圧倒的な人気を誇る。赤い帽子と黒縁メガネがトレードマークの「ワクワクさん」こと久保田雅人氏と、クマの男の子「ゴロリ」の絶妙なコンビネーションは、朝の居間を一瞬で創作のワークショップへと変えた。
児童向け教育番組制作のノウハウが凝縮されたこの番組は、単に「作り方を紹介する」だけにとどまらなかった。失敗しても笑い飛ばし、試行錯誤の過程そのものを楽しむ姿勢を示すことで、子どもの探究心を自然と引き出す造形教育の理想形を体現していたのである。道具の使い方を分かりやすく教え、ハサミの安全性や素材の特性を伝える細やかな配慮も、多くの教育関係者から高く評価された。
【独占解説】2013年番組終了の裏側とワクワクさんが抱いていた真意

23年間にわたりお茶の間に親しまれた番組が、なぜ2013年3月に幕を下ろしたのか。長年囁かれてきた疑問の背景には、時代の変化に伴う番組改編と、久保田氏自身の「最高の形でバトンを渡したい」というプロ意識があった。番組が絶頂期を迎える中で、次の世代へ新しい教育コンテンツの枠組みを譲るというNHK側の判断と、演者としての情熱が合致した結果の決定であったとされる。
東日本大震災の発生時には、防災知識を工作を通じて伝える特別番組「つくってまもろう」が制作されるなど、社会課題に対してフレキシブルに応える姿勢も示された。久保田氏は当時を振り返り、「どんな時代であっても、手を使って何かを作る喜びは失われない」と語る。番組終了は決して消滅を意味するのではなく、新たなステップへの前向きな旅立ちだったのだ。
相棒ゴロリとの固い絆と声優・中村秀利さんが吹き込んだ命

ワクワクさんとゴロリの関係性は、単なる共演者を超えた唯一無二のパートナーシップに基づいていた。ゴロリの愛くるしい声と絶妙な間合いを担当していたのは、声優の中村秀利氏(2014年逝去)だ。中村氏の変幻自在な演技とあたたかな声質があったからこそ、ちょっとお調子者で好奇心旺盛なゴロリのキャラクターが生き生きと躍動した。
スタジオでの収録は、ほぼNGなしのライブ感あふれる掛け合いで行われていたという。久保田氏が手際よく工作を進める横で、中村氏演じるゴロリが子どもたちの目線を代弁するように素朴な疑問を投げかける。この二人三脚の連携こそが、画面越しの子どもたちに「自分もやってみたい!」と思わせる魔法の源泉となっていた。
身近な素材を魔法に変える「知育・造形教育」ノウハウの神髄
番組で紹介された数々のアイデアは、知育・造形教育の観点からも極めて緻密に計算されていた。高価な材料や特別な道具は一切使わず、廃材や日用品を巧みに再利用するアプローチは、環境意識の啓発にも寄与していた。段ボールの強度を利用した遊具や、輪ゴムの伸縮性を活かした動くおもちゃなど、科学的な原理を感覚的に学べる工夫が凝らされていた。
工作番組としての神髄は、完成した「モノ」そのものよりも、完成した後に「どう遊ぶか」というストーリー性まで提示した点にある。作って終わりではなく、作ったおもちゃを使ってゲームをしたり、ごっこ遊びに発展させたりすることで、空間認識能力や表現力を総合的に育む設計となっていたのだ。
NHKオンデマンドからYouTubeへ:デジタル時代に再評価される背景
放送終了から10年以上が経過した現在、NHKオンデマンドなどを通じて過去の名作回を視聴する動きが定着している。さらに久保田雅人氏は時代の波に乗り、YouTubeチャンネル「ワクワクさんの工作教室」を開設。デジタルプラットフォームを活用し、次世代の子どもたちや親世代へ向けてダイレクトに工作の楽しさを発信し続けている。
画面越しに直接語りかけるスタイルのコンテンツは、SNSや動画共有サイトの爆発的な普及とも親和性が高い。リアルタイム世代のノスタルジーにとどまらず、Z世代やアルファ世代の保護者にとっても「画面を見るだけでなく、手を動かすキッカケをくれる信頼のコンテンツ」として強い支持を集めている。
手作業のぬくもりを未来へ伝える久保田雅人の挑戦
現在も全国各地の幼稚園や保育園、地域イベントを巡り、年間数多くの工作ショーを行っている久保田氏。彼の情熱は衰えるどころか、デジタル化が加速する社会においてますます熱を帯びている。タップ一つで何でも手に入る便利な世の中だからこそ、自分の手で切り、貼り、組み立てるプロセスの尊さが際立つのだ。
「つくってあそぼ」が遺した精神は、形を変えながら確実に未来へと引き継がれている。失敗を恐れず、想像を形にする喜び。ひとつのハサミと1本のテープから始まる無限の可能性は、これからも子どもたちの心の中で輝き続けるだろう。 (出典: わくわく さん つくっ て あそぼ(Yahoo!ニュース))